今回ご紹介するのは『ニシアフリカトカゲモドキ』です。
見た目は茶色いヒョウモントカゲモドキのようですが、実際には生息しているところも違って生態も飼育方法も少し違います。
一時期はブリーダーなども少なくなり中々見かけることができなかったニシアフリカトカゲモドキですが、近年人気が再燃し数も復活してきました。
『レオパっぽいけど、結構違う』
そんな魅力を持ったニシアフリカトカゲモドキの生態と飼育方法についてまとめてみました。
ニシアフリカトカゲモドキの生態
(Wikipediaより画像引用)
ニシアフリカトカゲモドキの基本情報
英名:African fat tailed gecko
分類:トカゲモドキ科ニシアフリカトカゲモドキ属
分布:西アフリカ(セネガルやカメルーンまで)
全長:15~25cm(オスの方が大きい)
食性:昆虫食
繁殖:卵生
和名の通り、西アフリカに分布するトカゲモドキ。
『トカゲモドキ』という名が付いていますが、実際はヤモリの仲間です。
ヤモリの仲間ではありますが、まぶたが存在し、手の趾下薄板があまり発達しておらず壁面を登るのが不得手ということでトカゲとヤモリ両方の特徴を併せ持っています。
ニシアフリカトカゲモドキの生態
生息地は西アフリカということで1年間で日中平均気温が30℃近くになり、長い雨季も存在することから中々過酷な環境で生き抜いていることが想像できるかと思います。
夜行性の生き物なので、日中は他の動物が掘った穴などに潜んでおり、暗くなってから行動を開始して昆虫などを捕食します。
体色は主に茶色とオレンジ色で構成されており、目はウルウルとした黒目をしていて非常に愛嬌ある表情をしています。よくよく見ると黒目の中に縦長の瞳孔を確認することができます。
英名にFat-tailed geckoと名付けられているように非常に太い尻尾を持ち、ここに栄養を溜め込むことができます。尻尾の太さはニシアフリカトカゲモドキの状態を測るバロメータとなり、状態の良い個体は太く、状態の悪い個体はやせ細っています。
この太い尻尾は自切ができるようになっており、敵に襲われた時などに自切を行って注意を逸し、その隙に逃走をすることで生き延びます。尻尾は再生することができ、蛇腹のような模様が消えてツルンとした感じの再生尾が生えてきます。
性格や値段など
WCなどの野生個体では荒い性格をしたニシアフリカトカゲモドキも確認できますが、基本は温厚で臆病な性格をしており、CBなどではより顕著にそれがあらわれている印象です。
レオパことヒョウモントカゲモドキほど日中でも活発に行動するわけでもなく、不活発で陰気な性格をしているので、あまりウロウロと外をうろつくことはせずにシェルターなどに引きこもっていることも多いです。
値段に関してはWCとCBで大きく値段が違い、WCのほうが安価でCBのほうが高価であることが殆どです。
CBであってもノーマルは手頃な値段で入手できますが、まだまだモルフのある個体は少ないのでモルフのある個体は値段が高騰している現状です。
ニシアフリカトカゲモドキの飼育方法
設備自体はヒョウモントカゲモドキと同じような物でも大丈夫ですが、温度や湿度など細々としたところで違いが出てきますのでしっかりポイントを押さえておきましょう。
ケージ
さほど行動的な爬虫類でもないので、底面積が20cm×30cmほどあるケージであれば大丈夫でしょう。もちろん45~60cm規格の広いケージで飼育するのもオススメですが、その代わりに温度を確保する難易度は上がります。
扱いやすさを求めるのであればレプタイルボックスなどのアクリルケージ、機能性の高さでいえば爬虫類専用ケージであるグラステラリウムなどがオススメできます。
100均のシューズケースなどでも飼育自体はできますが、鑑賞性が低く、どちらかというと飼育というよりストックのような感じになってしまうので、数を沢山増やす予定がなければ大きめのケージで飼育することをオススメします。
床材
湿度が確保できるものをなるべくチョイスしたところですが、キッチンペーパーやペットシーツ、新聞紙などでも飼育はできます。
キッチンペーパー・ペットシーツ・新聞紙
メンテナンスが非常にしやすく、取替も楽なのでケージ内を衛生的に保つことができます。
ただし、ニシアフリカトカゲモドキは湿度を求める爬虫類のため、これらの床材は湿度の確保に非常に苦労するかと思います。
しかし、ニシアフリカトカゲモドキのベビーを飼育する場合は誤飲防止のために紙系の床材を使用することを強くオススメします。(霧吹きなどで湿度管理はしっかり行いましょう)
バーミキュライト(+赤玉土)
保湿性が高く、ホームセンターなどで大容量のものが売られているのでコストパフォーマンスは高いです。
同じくホームセンターなどで売られている赤玉土と混ぜ合わせて使うのも有りです。
土系の床材は誤飲をする可能性もあるので、給餌の際はなるべくピンセットで与えましょう。
ソイル
デザートソイルやフロッグソイルがメジャーな商品。
焼き固められた土でできており、保湿力が高く排泄物の臭いを抑える効果があります。
バーミキュライトなどと比べるとコストはやや高いですが、見栄えは良いです。
シェルター
高湿度の空間を手っ取り早く再現できるためウェットシェルター必ず用意してあげましょう。
上部に水を溜められる陶器製のシェルターならば、湿度の維持と脱皮の際の取っ掛かりや隠れ家にもなるのでオススメです。(タッパに水苔を敷き詰めたものでも可)
ニシアフリカトカゲモドキならばスドーのウェットシェルターMサイズが丁度良いサイズです。
水入れ
水が溜められるウェットシェルター以外にも1つくらいは水入れを用意しておくと安心です。
稀に止水を認識できない個体もいるので、そういった場合は霧吹きなどで壁面に水滴をつけてあげましょう。
ライト類
夜行性のヤモリのためライト類は必要ありません。
同時にニシアフリカトカゲモドキは目があまり良くないので、あまりにも明るいと眩しくてより一層シェルターから出てこなくなります。
温度と湿度管理
ニシアフリカトカゲモドキで最も重要なポイントです。
高温多湿の環境を好むため、なるべくそのように飼育環境を整えてあげると状態良く生体をキープすることができます。
温度はホットスポットは30℃~32℃近くをキープしてあげたいところです。涼しい場所は26℃~28℃程度にして、温度勾配を作っておくとニシアフリカトカゲモドキが好みの温度帯を選ぶことができます。
湿度は60~70%を目安に高湿度を維持してあげましょう。
最低限ウェットシェルターをしっかり用意していれば基本問題ありません。ですがシェルターだけが快適環境になると中々外に出てこなくなることもありますので、ケージ内の湿度も気持ち高めに設定してあげると良いかもしれません。
個体によって好みの湿度があるようなので、ウェットシェルターの上部にずっといるようであればケージ内湿度が足りない可能性があります。
冬場の保温はニシアフリカトカゲモドキ飼育で頭を悩ませるポイントなので、いっそのことエアコンを使うか、温室を作ってサーモスタッドで管理することをオススメします。
ヒーター類
局所的にホットスポットを作ってあげたいので、パネルヒーターを底面に設置してあげましょう。
暖かい地方に住んでいる方はパネルヒーターのみでも高温をキープできるかもしれませんが、寒い地方にお住まいの方はソレ以外に暖突やエアコンを使って温度をキープしてあげる必要があります。
その際には温度の上がり過ぎを防止するためにサーモスタッドは必ず使ってあげましょう。
エサや給餌方法など
昆虫食なのでコオロギやワーム系、トカゲモドキ用の人工餌を使います。
ニシアフリカトカゲモドキは目があまり良くないので、ピンセットから食べる個体であればピンセット給餌をなるべくしてあげたいところです。くる病などの予防のためにカルシウムのダスティングは欠かさないように。
ニシアフリカトカゲモドキは過酷な環境で生きていることもあってか食に対しては結構貪欲です。視覚よりも嗅覚に頼っている節があるので、もしかしたら人工餌には比較的餌付けやすい可能性があります。
給餌間隔はベビー~ヤングは食べるだけ毎日与え、アダルト近くになって尻尾が露骨に太くなり始めたらエサの量を絞って給餌間隔を2~3日ほど空けます。
フルアダルトになってしまえばあとは太り過ぎないようにすれば良いので、週1回程度の給餌でも大丈夫です。
ハンドリングについて
個体差が大きく慣れない個体はとことん慣れませんが、アダルトはもっさりとした動きなので扱い自体は難しく有りません。
ベビー~ヤング期はまだまだ俊敏な面を持っていますのでハンドリングには注意しましょう。
ベタベタ触れ合うことを好む爬虫類はいませんので、ハンドリングは節度を持って行うと良いでしょう。
さいごに
ヒョウモントカゲモドキと同じ感覚で飼育をすると失敗するのがニシアフリカトカゲモドキです。
ですが、飼育方法自体はほぼ確立されているので『高温多湿』の管理を怠らないようにすれば長期間の飼育が可能になるでしょう。逆を言えばその環境をキープできないのであれば残念ながら飼育はしないようが良いでしょう。
まだまだモルフは豊富ではなく値段も高い時期が続いていますが、ヒョウモントカゲモドキのモルフ作出が落ち着いていることもありニシアフリカトカゲモドキが注目されています。
今後ブリーディングが活発に行われて流通が増えることでまた新しいモルフに出会うことができる可能性が高いと思われます。
今まさに人気が上がっている爬虫類であるニシアフリカトカゲモドキ。何かのキッカケがあったら飼育をチャレンジしてみては如何でしょうか。
以上、ニシアフリカトカゲモドキの生態と飼育方法についてでした。
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