【超定番種】ボールパイソンの生態と飼育方法について

ヘビの飼育方法

今回はヘビの入門種としてとてもポピュラーな『ボールパイソン』をご紹介します。

同じ入門種のコーンスネークと比べると『太くて短い』のが特徴の本種。

以前は飼育が難しい種類とされていましたが、生態の理解も進み飼育本も出版されてハードルはだいぶ下がった印象です。

この記事では飼育方法の他に生態などもまとめてありますので、飼育の参考になれば幸いです。

ボールパイソンの生態

ボールパイソンの基本情報

学名:Python regius
英名:Ball python/Royal python
和名:ボールニシキヘビ
分布:アフリカ中部から西部にかけて
全長:100cm~150cm程度
食性:動物食
繁殖:卵生

アフリカの広い範囲で分布しているヘビ。

温暖な環境で雨季と乾季があるところに生息しているため、比較的過酷な環境で生き抜いていると言えます。あまり活動的なヘビではありませんが、稀に樹の上に登ったりと意外な行動をすることも。

コーンスネークのようなナミヘビと比べると胴体はガッチリとしており、逆に頭付近はスラリとしています。また、防御反応で球のような形をとることで知られ、これが名前の『ボール』の由来とされています。

かつては野生で捕獲された状態の悪い個体が多く出回っていたこともあり初心者向けのヘビでは無いとされていましたが、現在においてはCB化も進み、生態にまつわる情報も多く集まってきました。

ボールパイソン自体の性格は温厚で扱いやすいので、餌付けと環境さえ整ってしまえばさほど飼育が難しい種類ではないこということも分かり、一気に入門種としての地位を築くに至りました。

それでも拒食しやすく(理由は気をつけるポイントの項にて)、若干神経質なところは変わらないので飼育をする際には十分にこのポイントを理解する必要があります。

ボールパイソンのモルフ

ボールパイソンがペットスネークとしての地位を確立するに至った理由として、豊富なモルフが存在することが挙げられます。

一時は『ボールパイソンバブル』と呼ばれるほど新モルフの作出が盛んに行われており、新モルフが出ると数百万円の値がつくような時代もありました。今では値段もある程度落ち着きが見られ、様々なモルフが手の届きやすい値段で入手することができます。

ここでは比較的メジャーなモルフについていくつかご紹介させていただきます。

アルビノ

爬虫類ではおなじみのモルフ。

メラニン色素が作れないため、体色は白と黄色の2色になり、目は赤い色となります。

二重劣性遺伝で黄色色素も欠乏したモルフは「スノー」と呼ばれます。

アザンティック

黄色色素の欠乏により体色がモノトーンのようになるモルフ。

パイボールド

身体の一部分に真っ白な表現になります。個体差によって白の面積が大きく変わることでも知られます。

初登場時はそれはそれは高価なモルフでしたが、現在は値段も落ち着き、コンボモルフも登場するようになってきました。

スパイダー

茶褐色で表現される部分が広がり、黒色の斑紋が少なくなることで蜘蛛の巣のように見えるモルフ。目は青くなります。

神経障害を持つとされ、首を振ったりする行動が見られますが命に別状はありません。

コンボモルフを作る際に採用されやすいことでも知られます。

これ以外にも非常に豊富なモルフが作出されているのがボールパイソンというヘビの魅力です。

飼育本に非常にモルフを詳しく載せているものが出版されていますので、気になる方は購入して色々と調べてみると良いでしょう。

性格や値段など

性格は良く言えば温厚、悪く言えば臆病で神経質です。

理由なく噛むことはほぼなく、ハンドリング自体も容易なため個体の扱いは難しく有りません。

値段に関してはピンキリで、安いものは1万円を切り、高いものは数十万円になることもザラです。

安い個体は野生で捕獲したワイルド個体、または卵を野生下で捕獲して人工的に孵化させたFH(ファームハッチ)個体が殆どになり、餌付けも満足に行われていないこともあるので初心者が手を出すのはあまりオススメしません。

多少高くとも餌付けがしっかり行われた個体をお迎えするのが望ましいでしょう。

ボールパイソンの飼育方法

ボールパイソンは夜行性で、そこまで活動的な種類でもないので昼行性のトカゲなどに比べると導入コストはそこまで高くありません。

ケージ

ベビーの頃はそれこそプラケで十分ですが、ボールパイソンは成長速度が早く比較的大型のヘビになるので早めに大きめのケージを用意してあげましょう。

とぐろを巻いた状態の3倍ほどの幅があれば十分とされていますので、アダルト個体に対しては90cm規格のケージがあれば大丈夫です。

衣装ケースでも水槽でも好きなケージを選んでもらって大丈夫ですが、ボールパイソンは力が非常に強いため脱走されないように蓋をしっかりと閉められるケージを選ぶと良いでしょう。

床材

ペットシーツやキッチンペーパー、新聞紙のような床材で大丈夫です。

保湿力の高いヤシガラマットやアスペンチップなどでも大丈夫ですが、こちらを使う場合は誤飲などに注意しましょう。

水入れ

ボールパイソンは脱皮前などによく水に浸かりますので、全身が浸かることの出来るような大きめの水入れを用意してあげましょう。(タッパーなどで大丈夫です)

同時に飲水にもなるので新鮮な状態をキープできるようにこまめに交換すると良いです。

カルキに関しては抜いても抜かなくても構いません。どちらかといえば新鮮さが重視されます。

シェルター

臆病な性格でもあるのでなるべく用意してあげたいところです。

脱皮の際の取っ掛かりにもなりますし、ストレスからくる拒食なども予防できます。

用意する際はとぐろを巻いた状態でピッタリ収まるくらいのものを使ってあげると落ち着きやすいです。

環境に慣れないうちは引きこもりがちですが、慣れてくるとケージ内をうろついてくれるようになります。

温度と湿度管理 ヒーター類

ボールパイソンの生息地がアフリカということもあり、高温な環境を好みます。

パネルヒーターなどで30~35℃程度のホットスポットを作り、同時に23~26程度の涼しい場所を作ってあげて温度勾配をつけてあげれば大丈夫でしょう。ケージ全体を高温に保つとボールパイソンの代謝が高いままで披露してしまうので涼しい場所を作ることも重要です。

冬場で温度が下がってきた場合には暖突などで追加の加温をしてあげます。保温球を使っても良いですが、ヘビが巻き付くと火傷になってしまうので使用には十分注意が必要です。

湿度に関しては50~60%くらいをキープしていればさほど問題ありません。(水入れもあるので)

脱皮前に関しては湿度を要求されますので、霧吹きなどでケージ全体の湿度を高めてあげると良いでしょう。

その他にも冬場は乾燥して湿度が下がりがちになるのでマメに霧吹きをしてあげるのが無難です。

エサや給餌方法など

エサに関しては基本的にマウスのみで飼育が可能です。

ベビーの頃でもファジーやホッパーサイズのマウスを給餌しても大丈夫ですので、個体のサイズと合わせて胴体より少し小さいくらいのマウスを与えましょう。アダルトにまでなればマウスからラットに切り替えても良いでしょう。

目安としてベビーの頃は4~5日に1回、アダルトになれば1~2週間に1度の給餌で十分です。

給餌方法としてはピンセットで小刻みにエサを動かして誘ってあげます。食欲がある個体ならば元気よく飛びついてきてくれます。

餌付けがされていない場合はアシスト給餌などが必要になる場合もあるので注意

気をつけたいポイント

拒食

ボールパイソンの飼育で最も悩まされるポイントかと思います。

比較的過酷な環境で生きていることもあってボールパイソンは絶食に強く、一度拒食になると長い間食べない時期が続きます。(長いと年単位で食べません)

理由としては飼育環境があまり良くないか、発情期などに伴う季節的な問題が挙げられます。

環境に問題がある場合は湿度を高めに維持すると良いという意見もありますので、温湿度管理をこまめに行なって予防をすることが大切です。

ある程度育った個体ならば拒食をしてもしばらくは耐えられるので、定期的にエサで誘って食べないようならばまた放置する感覚で大丈夫でしょう。

食べないからといって強制給餌を行うと生体に多大なストレスを与えるため、あくまで最終手段として捉えておいてください。

脱皮不全

大体は湿度不足が原因です。

脱皮不全になってしまった場合はぬるま湯などに浸けて皮を柔らかくしてから優しく剥いであげましょう。

脱走

ボールパイソンに限らずヘビは脱走名人です。

蓋や扉はしっかりと固定し、脱走されないように気をつけましょう。

脱走しても室内であればさほど問題ありませんが、野外に逃げてしまうとニュースになってしまったり、人を傷つけて他の爬虫類飼育者に大きな迷惑を掛けてしまうので最大限の注意を払いましょう。

さいごに

ボールパイソンの飼育について以下にポイントをまとめてみました。

比較的大型のヘビ
扱いは難しくない
拒食になりやすい
餌付けがされている個体を選ぼう

拒食がしやすいことを除けばペットスネークとしてとても優秀な爬虫類と言えるでしょう。

とはいえ安直に『初心者向けで飼いやすい』という面を鵜呑みにし、最低限押さえておくべき知識やポイントを身につけていないと飼育に手こずる種類でもあります。

特に餌付けの行われていないWDやFHの個体をお迎えすると難易度が跳ね上がりますので、初心者の場合は餌付けされた個体をお迎えすることを強くオススメ致します。

気をつけるべきポイントはありますが、独特のもっちりとした触り心地と豊富なモルフという大きな魅力を持ったヘビです。

大きめで扱いやすいヘビの飼育を考えていましたらぜひチャレンジしてみては如何でしょうか。

以上、ボールパイソンの生態と飼育方法についての記事でした。

ボールパイソンと双璧をなすコーンスネークに関しての記事は別にありますので、よろしければご参照ください。

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