今回は樹上棲といえばというヘビである『グリーンパイソン』についてご紹介します。
性格が荒い個体が多く、飼育難易度は高いですが、ソレを補って余りある魅力のあるヘビだと思います。
グリーンパイソンの生態や、飼育方法についてまとめていきますので、参考になれば幸いです。
グリーンパイソンの生態
グリーンパイソンの基本情報
英名:Green tree python
和名:ミドリニシキヘビ
分類:ニシキヘビ科オマキニシキヘビ属
分布:インドネシア・パプアニューギニア・オーストラリア
全長:150~200cm
食性:肉食性(動物食)
繁殖:卵生
学名の「viridis」は緑という意味。
オマキニシキヘビ属にはベーレンパイソンやカーペットパイソンなどが含まれています。
グリーンパイソンの生態
主に熱帯雨林に生息する完全樹上棲ヘビです。
夜行性で、エサを探す際には地上に降りて行動することもありますが、基本は樹の上でとぐろを巻いてじっとしていることが多いです。
とぐろの巻き方が他のヘビに比べると独特なことで知られており、毒は持っていませんが鳥類を捕食するために牙は長くアタックも非常に素早いです。
成長に伴って体色が変わるのも特徴的で、幼蛇の頃は赤や黄色い体色をしています。
性格や値段など
気性は荒い個体が多く、人の顔などに飛びかかってくることも珍しく有りません。
特にWCやFHの個体は荒いことが多い印象です。
CBならば比較的穏やかな個体も見かけますが、人気が高いため入手は難易度が高め。
値段も相応にFH・WCの個体よりCB個体の方が高価です。
産地によって模様や色が異なる(ビアクやアルーが代表的)ので、珍しい産地の個体だと値段が跳ね上がります。
グリーンパイソンの飼育方法と設備
ケージ
活動的なヘビでもないので、ある程度の高さが確保できるケージがあれば大丈夫です。
目安としてとぐろ3個分くらいの高さを確保し、最終的には高さ60cm規格のケージを使えば問題ないでしょう。正面に扉のついていて機能性に優れるグラステラリウムなどがオススメです。
床材
地上に降りることは稀かと思いますので、床材は見栄え重視かメンテナンス重視かで選ぶと良いかと思います。
見栄え重視ならば保湿力の高いヤシガラマットや水苔が候補に入ります。
メンテナンス重視ならば新聞紙やペットシーツが候補になってきます。
ただし、グリーンパイソンは高湿度を求めるヘビですので、新聞紙やペットシーツを使う場合は大きめの水入れを用意しておくと良いでしょう。
止り木
グリーンパイソンを飼育する上で止り木は必須の設備となります。
止り木は流木を使ってもいいですし、突っ張り棒を使っても大丈夫です。(それなりに太めのものが望ましいです)
できるだけ地面と平行に設置し、2~3本ほど用意してあげると安心です。
止り木が落下するとヘビが怪我をする恐れがあるので、できるだけ接着剤などで止り木はケージに固定できるようにしましょう。
水入れ
高湿度の維持のため、底面に水入れを設置しておきましょう。直接水を飲んだり、水浴びをすることはほぼありませんが、排泄物が水の中に落ちることも有るのでこまめに取り替えるのが望ましいです。
床材の項でも述べましたが、グリーンパイソンは高湿度を求めるヘビですので、紙系の床材を使用する場合は水入れも少し大きめをチョイスすると良いでしょう。
ライト類
グリーンパイソンは夜行性のため、紫外線ライトなどは必要ありません。
気になるようでしたらごくごく弱めの紫外線ライトを日中つけても良いでしょう。
温度と湿度管理
熱帯雨林に生息しているため、基本は『やや高温で高湿度』での管理が望ましいです。温度は28~30℃付近で管理し、湿度は70~80%程度を目安にすると良いでしょう。
冬以外はほぼパネルヒーターを側面に設置するだけで大丈夫かと思いますが、温度が足りない場合は暖突などを使って底上げしてあげましょう。保温球などはケージ内に設置するとグリーンパイソンが巻き付いて火傷してしまう恐れがあるので使わないほうが無難です。
湿度に関しては毎日朝と夜に霧吹きを行って高湿度を維持しましょう。冬場は底面にパネルヒーターを敷いて水入れを温めて湿度を高めてもいいです。湿度を上げることで脱皮不全を予防し、霧吹きの水は飲水にもなるため欠かさず行いたいところです。
温度も湿度も求められますが、蒸れすぎないように注意。
エサや給餌方法など
グリーンパイソンは主にマウスかウズラなどの鳥類をエサとして与えます。野生下では主に鳥類をエサとしているので、中々マウスに餌付かない個体も多いです。不安がある場合は事前にマウスに餌付いた個体をお迎えすると良いでしょう。
これからマウスに餌付ける場合は根気強く、かつヘビを極力驚かせないように給餌を行っていきましょう。あっさり餌付くこともありますが、とにかくコツを掴むまでが勝負です。
給餌間隔の目安はベビーで週2~3回、アダルトで週1回程度で良いでしょう。エサのサイズはギリギリよりもグリーンパイソンが楽に飲み込めるサイズが理想です。エサのサイズや量に関しては個体ごとの差が大きいので、飼育しながら調整していきましょう。
ハンドリング
グリーンパイソンのような樹上棲ヘビをハンドリング目的で飼育する方は少ないかと思いますが、基本的には観賞用ヘビと捉えて下さい。ハンドリングにはまず向いていないヘビでしょう。
触ろうとすれば顔めがけて飛んでくるか、逃げ回ります。結果的に大きなストレスを与えることになるのでハンドリングは控えたほうが無難です。
メンテナンスの際は革手袋などを使って速やかに移動させるなど工夫がいるかもしれません。
グリーンパイソンのまとめ
グリーンパイソンについて軽くまとめてみましょう。
性格は荒い個体が多い
値段は高め
高温かつ高湿度で管理
飼育難易度は高い
飼育方法などをまとめていて、飼育難易度が高いヘビだと改めて感じました。
気性は荒くハンドリングが難しいことに加え、餌付けにもコツが必要で、おまけに拒食しやすいと気をつけるべきポイントが他のヘビに比べてやたら多いです。
ですが逆に言えば人間に靡かないヘビですので、ありのままを鑑賞しながら飼育してみたいという方にはオススメの爬虫類だと思います。
魅惑の緑を持つワイルドなヘビこと『グリーンパイソン』。ヘビ飼育のステップアップとして挑戦してみてはいかがでしょうか。
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