今回はヒョウモントカゲモドキことレオパの飼育方法をご紹介します。
爬虫類飼育の入門種として知られており、飼いやすい爬虫類の代表格といって良いでしょう。
愛くるしい表情と仕草を持ち、おっとりしている子が多いので触れ合うこともできます。
飼育方法もほぼ確立されており、飼育本なども豊富で情報が手に入りやすいのも大きな魅力です。
ヒョウモントカゲモドキの生態
ヒョウモントカゲモドキの基本情報
別名:レオパードゲッコー(略称レオパ)
分類:爬虫綱有鱗目トカゲモドキ科Eublepharis属
分布:アフガニスタン・パキスタンなど
全長:20~25cm
食性:昆虫食性
繁殖:卵生
「ヒョウモン」という名前の通り、体に無数の黒い斑点が存在するのが特徴です。
昨今ではレオパードゲッコーを縮めた言い方である「レオパ」という呼称が定着していますね。
ヒョウモントカゲモドキの生態
ヒョウモントカゲモドキは主にアフガニスタンやパキスタンなどの乾燥地帯に生息しており、夜間に活動する夜行性の爬虫類です。
昼間の間は岩や穴の中に身を潜め、夜になると活発に動き回ってエサを探します。
夜行性ではありますが、飼育下においては人に良く慣れますので昼間のうちからでも積極的に行動している姿を見かけます。
基本的に単独行動をしていますが、繁殖の際はハーレムを形成することで知られオス同士は激しく争います。(よってオス同士の多頭飼育は避けるべきとされています)
見た目はトカゲによく似ていますが、実際にはヤモリの仲間になります。
ヤモリの仲間ではありますが、ニホンヤモリのように壁に張り付くことができなかったり、ヤモリには持っていないまぶたを持っていたりとトカゲによく似た特徴も持っています。
ほぼ地表棲ですが、思ったよりもパワフルで立体行動も巧みに行います。
大きく太い尻尾は栄養を溜め込むことができ、非常時にはその栄養を消費することで生きながらえることが出来ます。故に絶食に強く、健康な個体であれば水のみで数ヶ月に渡って絶食に耐えることが出来ます。
寿命は非常に長く10年前後とされていますが、個体によっては20~30年ほど生きた記録もあります。
性格や値段、モルフなど
原産国が紛争地域ということもあり、WC(ワイルド/野生個体)が出回ることはほぼありません。
ごく極稀にWC、もしくはWC同士のF1個体が出回ることがありますが、非常に高額で取引されています。
ですので今現在、ショップや即売会イベントで見ることのできるヒョウモントカゲモドキは国内外でブリードされた個体が殆どになります。
CB化が進んだ影響として、個体によって多少の差はありますが基本的に温厚な性格の個体が多くなっています。加えて動きも緩慢で扱いやすいことから「ペットとして最適のヤモリ」と称されるほど人気を高めることになりました。
ヒョウモントカゲモドキは多種多様なモルフがあることでも知られており、モルフによって値段が大きく変わります。
ハイイエローやスノーのような基本モルフは1万円以下で購入することもできますが、希少性の高いコンボモルフなどは数万~数十万円で取引されています。
近年においても新しいモルフを作出する活動は活発に行われており、モルフの専門書も登場しています。
ヒョウモントカゲモドキの飼育方法と飼育設備
ケージ
ヒョウモントカゲモドキはさほど活動的な爬虫類ではありません。
よって大きなケージは必要なく、最低でも30×20cm程度の底面積があれば飼育が可能です。
ヒョウモントカゲモドキは専用とも言えるようなケージが豊富にあるので、好みなものを選びましょう。
ですが、上記のサイズですとケージ内のレイアウトが殺風景になりがちなので、レイアウトを楽しみたい場合は45~60cm規格の爬虫類ケージや水槽を導入すると良いでしょう。
ヒョウモントカゲモドキは脱走名人なので、水槽などを使う場合はしっかり蓋を用意しておくと安心です。
床材
ヒョウモントカゲモドキの床材として挙げられるのは、キッチンペーパー、人工芝、砂、ソイルなどが挙げられます。
それぞれメリット・デメリットがありますが、床材は好みで選んで良いでしょう。
キッチンペーパーや人工芝はコスパに優れていますし、砂やソイルは敷くだけで一気に本格的な雰囲気になります。
シェルター
ヒョウモントカゲモドキは多湿な隠れ家を好むので、ウェットシェルターは用意しておきたいところです。
また、ウェットシェルターはヒョウモントカゲモドキの脱皮不全を予防する効果もあります。
陶器製のものがスタンダードかつメジャーですが、タッパーを改造して中に水苔を敷いたものでも代用できます。
水入れ
あまり水を飲んでいる姿は見せてくれませんが、ヒョウモントカゲモドキは意外と水を飲みますので、どちらかと言うとあった方が無難です。
稀に水入れから水を飲まない個体もいるので、そういった場合は壁面に霧吹きをしたりして水を認識させてあげましょう。
ヒーター類
ヒョウモントカゲモドキは夜行性のヤモリですので、紫外線を照射するUVBライトは必要ありません。
基本的にはケージの下に敷くパネルヒーターが1枚あれば冬場以外は凌げます。
逆に冬場はパネルヒーターだけだと保温しきれないので、暖突のような追加の保温器具を使って適切な温度をキープしてあげる必要があります。
温度と湿度管理
ヒョウモントカゲモドキは低温にも高温にも耐えられる丈夫な爬虫類ですが、それはあくまで耐えられるだけです。
飼育する上では適切な温度と湿度で管理してあげるのが大切となります。
ヒョウモントカゲモドキのような爬虫類は、人間のように自ら体温を調節することができないので、ケージの中で温度勾配を作ってあげる必要があります。
基本的にパネルヒーターの上の高温部が30~33℃、それ以外の部分が25~28℃になるようにしたいところです。
極端な温度勾配を作る必要はなく、どちらかというとケージ内全体を保温するようにし、ごく一部分だけ少し高い温度の場所を作るのが良いようです。
冬場は暖突などをつかって追加の保温をする必要がありますが、温めすぎは個体のオーバーヒートを招く可能性があるので、温度調節のできるサーモスタッドを同時に使ってあげましょう。
湿度にはあまり煩くないので、ウェットシェルターの水を切らさないようにすれば基本的には大丈夫です。体がうっすらと白くなり、脱皮の兆候が見え始めたらケージ全体に霧吹きを行って湿度を上げてあげましょう。
床材に使われるソイルは保湿力が高いので、ヒョウモントカゲモドキにとって快適な湿度である40~60%程度の湿度保持が楽になります。
逆に湿度が高すぎると雑菌などの繁殖を招くことになるので、程々にするのが大切です。
エサや給餌方法など
ヒョウモントカゲモドキは昆虫食のため、コオロギかワーム類のエサを必要とします。
ベビーならば生後半年程度まで食べるだけ毎日、生後半年から1年を過ぎるヤングからアダルトにかけては2~3日に1度、生後2年以上のフルアダルトになったら週1回程度で十分です。
給餌の際はピンセットで与えると、食べた匹数がわかりやすいですし、誤飲などを防ぐことができるのでオススメとなります。
この「エサが虫」というのがヒョウモントカゲ飼育において最大のネックとなっていましたが、近年は虫が苦手な人向けに、ヒョウモントカゲモドキ専用の人工餌が浸透してきました。
人工餌に餌付くかどうかはその個体次第ですが、餌付いてくれればこれ以上ない優秀なエサとなります。
代表的な人工餌としては「レオパゲル」「グラブパイ」「レオパブレンドフード」が挙げられます。
さいごに
ヒョウモントカゲモドキの日々のお世話は基本的に給餌と排泄物の処理程度です。
トカゲ類のようにUVBライトなども必要ないので、実際に飼育してみると思った以上に手が掛からないと感じるかも知れません。
長生きをさせるコツは、適切な温度管理と太らせすぎないことです。
ヒョウモントカゲモドキは爬虫類飼育の楽しさと難しさを同時に教えてくれる爬虫類ですので、興味を持ったら飼育にチャレンジしてみましょう。
コメント